マクドナルドの没落

〜ファーストフード
      とスローフードの間で〜





   「日本マクドナルド創業以来初の赤字」
   「デフレの申し子にも苦境!」
   「藤田田会長辞任」


 先日新聞各紙にこのような記事が踊った。創業以来右肩上がりに成長を続けてきたマクドナルドが赤字に転落。外食業界に大きな衝撃が走ったのは言うまでもない。各紙の経済面の記事の分析によれば赤字転落の原因は一連の狂牛病騒動による牛肉の敬遠ムードと、主力商品ハンバーガーの度重なる価格変更によって消費者の信頼を失ったのが原因かと書かれていた。たしかに、65円にしたりしなかったり、チーズバーガーの大幅値上げとかわけの分からない価格改定が多く消費者の信頼を失ったのは納得がいく。また、狂牛病による影響というのも確かに大きなものがあるだろう。しかし、管理人としては消費者の嗜好の変化もこの件に関して大きな影響を与えているのではないかと考えている。今回はマクドナルドをはじめとするファーストフードの現状について考えてみたい。

 先の見えない不況が続きデフレが進行する中、ファーストフード各社は価格競争によるシェア争いを繰り広げてきた。マックがハンバーガーの半額セールをはじめたのを筆頭に各ハンバーガー系の企業が次々に半額セールを打ち出し、さらにそこへ牛丼各社が宣戦を布告。混迷を極めた状況となっていた。各社の体力勝負になりつつあった昨今、一番体力があるかと思われていたマクドナルドが一番最初に戦線を離脱したということは、かなり意外な出来事である。マクドナルドの低価格路線の撤退を受けて、そのほかのファーストフード各社も低価格路線から次第に退いていくようである。しかし、これは消費者からはやはり不評を買っているようで、さらなるマック離れを引き起こすことは明白だろう。
 また、ファーストフード各社は低価格路線の維持のために、味へのこだわりが少々忘れられているような気がする。各社とも味が均一化し、消費者に飽きが来ているということも否定できないと思う。

 そのなか、世の中ではファーストフードに対抗するスローフード=従来の食生活に再び注目が集まってきている。やはり、食事というものは時間をかけて落ち着いてゆっくり食べるものであるという趣旨の運動がスローフードである。実際食事はゆっくりと時間をかけてこだわりの食材を食べるのが最も贅沢でおいしいもの。均一化された食事に飽きの来た現代人が、スローフードに心惹かれるのも納得がいく。

 が、ここで問題が一つ浮上する。そもそも、ファーストフードが爆発的に普及した原因は、現代人の時間の無さにあるのではないだろうか。忙しい現代人は"Time is Money"のもと「早飯」をすることで世界経済を支えてきたといっても過言ではない(?) 頭の中ではスローフードがよいとは思っていても、実際それを実行することは不可能に近い。会社の昼休みはふつう1時間。間違っても昼食に2時間かけさせてくれる太っ腹な会社はないだろう。

 この忙しい現代人とスローフードの間を埋めるために開発されたものが「自分風」ではないかと思う。最近急速に勢力を伸ばしているファーストフード各社はこの「自分風」を売り文句にしている会社ばかりである。たとえば最近中央線沿線を中心に東京近圏で急速に店舗拡大を進めている「はなまるうどん」は、通常のうどん玉は1人前100円〜と格安に設定し、そこに半セルフサービスで様々な素材をトッピングしていくという方式をとっている。また、新宿や渋谷などでも麺のゆで方から具材まで細かく注文できる「自分風」ラーメン店が多くなってきているような気がする。
自分で好きなようにカスタマイズできる点で、ほかのファーストフードより健康に気を遣うようなメニュー設定もできるし、味のバリエーションも多くなって飽きが来ないということなのだろう。この流れは以前からチェーン展開の定食系列で評価を得ていたが、それを短時間で出せるラーメンやうどんなどの準ファーストフードに応用したという発想はなかなか評価できると思う。

 これら「自分風」の急速な成長に驚いたマクドナルドはバリューセットの大幅な改変を行い組み合わせの自由を多くした。しかし、それが裏目に出て一人あたりのお客の待ち時間が長くなり回転効率の低下を招いているという話も聴く。さて、このファーストフード対スローフード対中間派「自分風」の三つどもえ。いったいどこが勝つことになるのだろうか…。



   

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